『その03:「酒場で大乱闘? いつものコトじゃん」(ファリム)』
作:鬼 団六
「よっしゃあッ!! そんじゃあ、俺が『技の弐号』だぁ!!」
二人が、何か変なポーズをきめたモンだから、みんなで吹き出しそうになった時…
「お前ら、さっきから、うるせーんだYo!!」
アタシが声のした方に振り返って見ると、いかにも『チンピラでござい』ってなカンジの、人相が貧租で不自由してます、みたいな男達が立っていた。人数は5人かな。
「俺達は静かに飲みてーんだYo!!」
「あんまりイキがってると、シメちゃうYo!?」
「しかも、女連れたぁ、イイ身分じゃねぇかYo!!」
「こっちに女をよこせっちゅうハナシなんだYo!!」
「チェキラッチョー!!」
…うわッ、こいつらアタマ悪い! スッゲぇ悪い!!
「はいはい、アンタ達、悪いけどアッチ行っててネ。バカが移るから。」
オイールが手をヒラヒラさせながら言った。…ははぁ、遊ぶつもりネ……
「な、なんだTow!?」
「おい、テメエ!! 俺ら怒らすと、どういう目に遭うかわかってんのかYo!!」
フフ…… 怒ってる、怒ってる。
「骨の一本や二本じゃ済まねぇYo!?」
「明日の朝日は拝めねぇYo!?」
「チェキラッチョー!!」
さてさて、こいつらどうしてやろうかしらねぇ。恐れ多くも、このファリム様御一行に因縁付けてきたわけだしぃ、骨の一本や二本は覚悟して貰おうかしら。
「さぁ、パンツ一丁ブラザーズ! やぁっておしまいッ!!」
オイールが、ビシスと中指をおったて(まぁ下品♪)ブラザーズに号令をかける。
『アラホラサッサー!!』
ホント、バカってこういう時に便利。何にも考えてないから♪
「力の壱号ぉぉ〜!!」
あ、まずは壱号が突っ込んだみたい。
「むぅぅん!! キミタチは、鍛え方が足りないとみたぁ!!」
キャハハハ! サンムラーってば、相手の目前まで行って、ただポージングしてるだけじゃん! 攻撃とかしなさいよ、バカねぇ。
「な、なんだYo!? コイツはYo!!」
あ、逆に効果的かな? あいつら、気色悪がって手を出せないじゃん。…あいつらもいい加減、バカねぇ。
「技の弐号ぅぅぅ!!」
ガルースは……と。相変わらず、すばしっこいわね。
「究極無敵世界最強流、奥義ッ!! 最強分身術『オレ・シャドぅ』!!」
プッ、相変わらずバカだわ、あの子! ただの反復横跳びじゃない。アンタも攻撃とかしなさいっての!!
「う、Wow!? 何人にも見えるじゃんかYo!!」
「ど、どうなってるんだYo!?」
キャハハハッ! あいつら何!? バカが服着て歩いてんの? いくらなんでも、そんなワケないじゃん♪
「むぅぅん!! 一日イチぜぇんッ!!」
「最強ぅ! 最強ぉぅ!!」
ウチのバカ達も、ノリノリだわ。さぁて、ここからどうなるのかなぁ…っと、アタシが天使の微笑(ツッコミ入れるヤツはお仕置きよ♪)を浮かべていると……
「しぇからしかぁあああ、こっぱぁあああ!!」
いきなり天を突くかのような『野太い声』が響いたの。
「何、オッサン?」
ま、そんな「デカイだけの声」に、私たちがビビるはずもなく…オイールが、飄々と答えたワケでして。オッサン、完全に出鼻を挫かれてる。
「なっ、オッサンだとぅ!?」
…無精髭が暑苦しいその男は、全力で否定したケド…オッサンじゃん、アンタ。
「じゃあ、幸薄そうな中年男性♪」
「ちゅ、ちゅ、ちゅ、中年男性だとぅ!?」
ドモりもかなりオッサン臭いわね。…っていうか、マジでうっさい。
「あのねぇ、デカい声出せば威圧できるって思ってるなら、とんだお門違いよ。わたい達は、そんじょそこいらの無法者とは違うんだから♪」
人差し指を立てて、可愛らしい所作で言ってのけるオイール。しかし、「無法者」って自分で言うのは感心しないわね。アタシだけは、違うんだからさぁ。
「や、やっかましいわぃ! ワシの可愛い部下達を散々っぱらコケにしおって…お坊さんの手配はお済みか、小僧どもっ!!」
あ、このオッサンが、バカラッパーどもの総元締めなのね。
「お頭ッ、こいつらシメちゃいまShowゼ!」
「そうだそうだ、こんな生意気なヤツら、片手でひねっちゃってくだSayよ!」
あ、いい加減、頭痛がしてきた…
「片手なんぞ使う必要ナシ! 小指でチョチョイのチョイなのじゃあ!!」
お頭、拳を突き上げ、テンション最高潮。
「なぁ、あのオッサンのしゃべり方って、サンムラーに似てねぇ?」
不意に、ガルースがボソッと言った。………って、そっくりじゃーん!
「な、なんじゃとぅ!? ガルース、おまん、今なんば言うちょっとかぁ!?」
サンムラーがガルースの胸倉を掴む。
「だって、似てるモンは似てるってぇ!」
首をガックンガックン前後に振られながら、ガルースが言う。アタシもガルースの意見に賛成だわ。
笑っちゃうくらいに、この二人、似すぎ〜♪
「サンムラー、アンタの親戚かなんかなの、このオッサン?」
「オイール! そこを動くなぁ!!」
サンムラーが叫んで、オイールに詰め寄る。
「こんなオッサン、ワシは知らん!! 大体、こんな鍛え方が足りんオトコが、ワシの親戚であるはずがないっ!!」
憤りのポイントはソコかい、こん馬鹿マッチョは……
「え、どっこいじゃん。体つき。」
ガルースがまたボソッと言った。その刹那……
「そぅりゃあ!!」
サンムラーのドロップキックが、ガルースにヒット!
「どぅわぁっ!!」
壁際まですっとぶガルース。そして、皆で大爆笑♪
「ハイッ!」
「ハイ、オッサン。」
オッサン、挙手。オイールが指名。
「…ワシらを無視せんでくれぃ!!」
オッサン、寂しそうな視線で、アタシたちを見てる。さながら「捨てられた子犬」みたいな視線だわ。…アタシなら「こんな犬、絶対に拾わない」ケド。
「あ、忘れてた♪」
アタシは天使の微笑で切り返す。
「ぬがぁあああああああああああああ!!」
おおぅ、オッサンの怒髪が天を突く!!
「もう、許さん! お前ら、皆殺しじゃあ!!」
お腰につけた大振りの剣を抜き放つオッサン。部下のラッパーどもも、それに右へ倣え、みたいな。
「キャァア!!」
流石に周りの客達も「洒落になんない」って思ったみたいね。逃げ惑ってるわ。
「ハイハイ、皆、取り乱さないの。」
オイールが周りの客に向けて言う。ま、そうよね。アタシたちが、こんなのにやられるワケないじゃない。失礼しちゃうわ!
「では、レイナ・マレイナ先生、おいでませ!」
オイールが、渦中から少し離れたトコで飲み続けてたレイナを呼び出す。
「………」
レイナ、無言でユラ〜っと立ち上がる。さながら「用心棒」みたいね!
…っていうか、このヒト、こういうノリだけは、いいのよねぇ。普段はあんまり会話に入ってこないケド。
「では、先生!」
オイールの合図に、先生は剣を抜き放ち、構える。あ、そ〜れ、抜〜けば飛っび散る、氷の刃っと♪
…で、そっからは一瞬でカタがついたのでした♪ チャンチャン♪
〜 つづく 〜
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