『Overture』
作:鬼 団六
深い深い歴史を持つ、東洋の中心「チューコク」の国。その首都「ポキン」…
眠らない街の、これまた眠らないお酒処の喧騒の中に、ひときわ艶やかな6人組のパーティーが滞在していた。
パーティー・リーダーは、『サンムラー・ムラヤマ』という、身の丈2mはあろうかという大男だった。
金色の髪をオールバックにセットし、やや厳つい顔には無精髭を蓄えていた。
どうみても40代ではあるが、れっきとした25歳である。
腕っ節のめっぽう強い男で、鍛え上げられた自分の肉体を、美しいと思い込んでいる危険なオトコだ。
一応、職業は戦士なのであるが、彼は必ずこう言う。
「ビルダーでっす!」と…
そんなサンムラーのお目付け役であり、幼馴染の女性『レイナ・マレイナ』もまた、戦士である。
彼女には、別に妙な趣味はない。自称ビルダーでもない。
故あって、地方の豪家であった実家を飛び出し、そのまま冒険者となった。
茶色がかったセミロングに、切れ長の瞳が印象的な美人である。
あ、大事なコトを言い忘れるトコだった。
この女性は、乳がデカイ。
以上。
森の住人、ハイエルフの娘も混ざっているようだ。
彼女の名は『ファリム・サンパギータ』。精霊使いである。
エルフ族特有の、とがった耳と、透き通るような白い肌を持っている。
気の強そうな瞳は、薄い緑色で、開いたときには、悪口雑言がマシンガンのようにつむぎ出される唇は、
そんなコトは「おくび」(ゲップのコトね♪)にも出さない位に、可憐な桃色だ。
年齢は、どう見ても10代にしかみえないが、何せエルフ族はご長寿の種族であるし、本当のトコロは、藪の中である。
本職の魔法使いもいる。彼の名は『オイール・アムラサス・V世』。
サンムラー程ではなかったが、彼もまた背が高かった。
この男は、とにかく光物に目がない。
いや、当然貴金属の類のハナシであって、寿司のネタのことではない。
只今のお気に入りは、その耳に燦然と輝く、金色の大きなリング状ピアスである。
その嫌味なくらい光りまくっているピアスも、彼特有の薄目の青い髪には、よく似合っていた。
彼の残した名言は、「わたいの背が、あと20cm低かったら、歴史は変わってたわね。」
そんな24歳だ。
さて、一風変わった職業の男もいるのだ。
あまり聞きなれないかもしれないが、「開祖」という職業をご存知だろうか。
剣の道を極め、自らの流派を起こした者のみが名乗ることを許される、伝説の名誉職、それが開祖だ。
尤も、この男の場合は言った者勝ちってなカンジで、勝手に新しい流派を起こしてしまっただけなのだが……
しかも、流派の名前は「究極無敵世界最強流」…
こんな清々しいバカの名は『ガルーサッツ・レディオス』君。
銀の髪に、端正な顔。しかも17歳でピッチピチ。でも、バカ。
補足説明:通称は「ガルース」
そして、殿に控えしは、このパーティーの生命線。僧侶の『ユウキ・メリウェザー』ちゃん。
つやのある黒髪を、後ろで束ねた19歳。
このパーティーの中では良心的な常識人で、ちょっと童顔で、か細くて、色白で、おまけにトンボ眼鏡
(フレームは無いに等しく、レンズは薄め。コレ、重要ね)ときた日には、
他の連中から「よくオモチャにされる」ってもんでしょう。気弱だし。
なんだか、幸薄そうなカンジの女性ではある。
そんな彼らは、自由気ままな冒険者。風の吹くまま、気楽にヒョイヒョイ世界中を旅して回る「風来坊たち」だ。
彼らの行く所、常に何らかの事件が待っている…ま、要するに、「天性のトラブルメーカー」なのである。
無論、当人たちは「自覚してない」ので、気にせず、明るく、ガンガン突き進んでいってしまわれる。
嗚呼、なんて「愉快痛快な6人組」。
このお話は、そうした事件の一つであるとともに、彼らの伝説……
そう「レジェンドの一つ」なのである。
……多分。
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